日本のマンガ業界のようなドイツのボドゲ事情『ボードゲーム デザイナー ガイドブック~ボードゲームデザイナーを目指す人への実践的なアドバイス~』【感想】
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どうも、さかせです。
今回は『ボードゲームデザイナー ガイドブック ボードゲームデザイナーを目指すための実践的なアドバイス』を読んだので、感想を書いていきたいと思います。
この本を読んだ理由
僕の知る限り、日本で初めてのボードゲームデザイナーのための本じゃないかと思います。
この本は各国で翻訳されている本で、ついに日本にも上陸しました。
自分のボドゲづくりに役立てたかったので、予約が開始されてすぐにポチりましたw
書いてあることは基本ドイツのこと
最初のほうはボードゲームの作り方、「アイデア」「発明」「ルール作り」「テストプレイ」について書かれてありますが、途中からは思いっきりドイツのボドゲ業界事情の話になります。
「日本関係ないじゃん!」
と思うかもしれませんが、詳しく書かれたドイツのボドゲ事情が、日本と比較するのに役立ってくれるため、かなり面白い中身になっていました。
僕が面白いと思った内容を一部紹介します。
TCGの全盛期は過ぎ去っている!?
ドイツでのTCG全盛期は過ぎ去っているらしいです。
日本では「TCG」か、「ボドゲ」か、というくらいTCG商品が盛んなので、ボドゲ先進国ドイツでそういう扱いなのが驚きでした。
もちろん、ドイツでもTCG商品は2ダース分ぐらいあるらしいですが。
最近だと「まほエル」や「Nova」、「モンスト」がTCGとして販売され始め、アプリでは「シャドウバース「ウォーオブブレインズ」「ドラゴンクエストライバルズ」がデジタルTCGとして人気です。
デジタルTCGが出てきてもアナログのTCG業界は売り上げを伸ばしていますから、売り上げ的に衰退しているのは考えにくい。
しかし日本でも数々のTCGが開発されては消えていっているのも事実。
多くのTCGが開発され、目新しさが薄くなっている状態だと、たしかに全盛期は過ぎていそうですね。
逆にそういった衰えを見せない日本のTCG業界は結構すごいんじゃないでしょうか?
メディアミックスが盛んだが滑りやすい
映画、テレビ、書籍、イベントのメディアミックスとして、ドイツではボドゲが販売されます。
しかし、失敗も多いようです。
例えば「ハリーポッター」のボードゲームはすべて失敗だったとか。
成功したメディアミックスボドゲに共通するのはきちんとゲームとルールが成り立って遊べること。
とりあえずキャラクターがプリントされたカードやボードではファンは満足しないのですね。
実際、日本ではメディアミックスでTCGが販売されますが、ルールがめちゃくちゃなTCGはすぐに消えていってます。(例えばゲゲゲの鬼太郎TCG)
日本でもルールがしっかりしていないといけないのは共通、しかしTCGが優勢なんですね。
開発したボドゲは出版社に持ち込み
個人で開発したボドゲは出版社に送って、販売できるか審査してもらいます。
この本の後半はだいたいこのことについて書かれています。
郵送の方法から、梱包、入れてはいけないもの、契約の仕方、商品ができるまでの過程など、様々なことが記されています。
日本のマンガ業界と似ている
ここまでの流れを見ていくと、ドイツのボドゲ業界は日本のマンガ業界に似ている気がします。
どちらも個人でネタを考えて、それを形にし、出版社に見せて販売してもらいます。
その道のりは険しく、膨大な知識(マンガ、ボドゲ)を持つ編集者の目で審査され、それでも出版社の方針にそぐわなければ断られ、断られても適切なアドバイスがもらえるかは不明。
ですが作り手はアイデアをひらめいてそれを形にして持ち込むしかないのです。
最近は同人イベントみたいなところでスカウト、という手もあるらしいですが。
そういうところも日本のマンガ業界と似ていますね。
オリジナリティが大事
ドイツが日本の漫画のように素人が新しいボドゲのルールを考えてくるのですから、当然「どこかで見たことある」現象が発生します。
つまりは「パクリ」
もしくは「気がついてないパクリ」
問題です。
この本でもたびたびオリジナルであることの重要さが語られています。
日本ではあまりボドゲの種類が少ないし、TCGでも「どこかでみたことあるルール」が使われていたりしますが、これからボドゲ業界が発展していくことを想像するとオリジナルであることには最善の注意を払っておいたほうがいいですね。
ゼロサムゲームではないドイツのボドゲ業界
この本を読んで安心したのは、これだけ過熱しているドイツのボドゲ業界でも、パクリを恐れるより積極的に意見交換したほうが良いとか書かれていたことです。
「自分のアイデアを守る方法」まで書かれていたので、つい「ボドゲ業界って過酷なんだなあ」と思いました。
しかし著者トム・ヴェルネック氏はこう語っています。
この共同体は小さすぎるし、お互いに依存しすぎているし、密につながりすぎている。
同じタイミングで幾度となく類似したアプローチや企画が登場するのは避けられない。
しかしアイデアを盗まれる心配から、仲間とのオープンなディスカッションを繰り広げるチャンスを使わないのは間違っているだろう。
この情報ゲームは、全員がずっと勝利し続けられるからである。
ボードゲームには「自由、平等、博愛」が大事と言われてるようですが、それは作り手にも大切なことなのかもしれませんね。
個人的な感想
ボードゲームの実践的アドバイスとしては、実践的すぎるほどでした。
ドイツのボドゲ事情よりはもっと詳しくボドゲの作り方を知りたかったですが、これはこれでためになりました。
特にオリジナルボドゲの少ない日本では、これからのボドゲ業界拡大に対して様々な情報が得られます。
具体的なボドゲの作り方では、
「どのようにして新しいボードゲームを開発するか?」
「テストプレイに自分が混ざってはいけない」
「テストプレイアンケート表」
などなど、これもまた実践的なものばかりが語られていました。
自分も1個か2個ボドゲのアイデアがあったのですが、「オリジナルか?」と聞かれたら微妙なところなので、考案を練り直そうと思いますw
ではでは!