【ネタバレ感想】『夜行』森見登美彦 まろやかなホラー小説だった

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どうも、嵯架瀬です。

やっと読むことができました。

森見登美彦さんの『夜行』。

 

夜行

夜行

 

いままでに森見さんの本は「四畳半神話大系」や「太陽の塔」を読んでいて大好きだったので、今回のも楽しみでした。

 

全体の感想

今回は今までの腐れ大学生の大冒険のようなものとは違い、しんみりとした話でした。

僕が気に入ったのはホラー描写です。

ホラーなんだけど、決定的にホラーではないんです。

どういうことかというと、起きる出来事があくまでも「勘違いかも」というレベルまでしか起きないんですね。

なので登場人物も「えっこわっ」以上の体験はしません。

それがある意味リアルというか、僕らだって何か怖い出来事が起こっても「怖くね?」「勘違いでしょ」という程度で済まそうとします。

この小説のなかでもいっしょで、まさか自分らに危機が迫ってるとは思ってません。

しかし物語は着々と進んでいる。

めちゃくちゃ怖いわけじゃないけど、怖くないというわけでもない、なんとも不思議な感じでした。

残る疑問

物語は完全な回答を与えてはくれません。

長谷川さんは一体何だったのか。

ミシマさんの「2人死ぬ」の予言はなんだったのか。

これが気になります。

 

三島さんの予言は、たぶん「夜行世界」では増田さんと瑠璃さん、「曙光世界」では武田君と美弥さんが死んだのだと思います。

ただ武田さんが知り合いを二人も亡くなったという過去を背負っている描写に心当たりがないですから真相にたどり着けないでいますが。

 

また、それぞれ各話の終わりに語り部と「絵の女性」が一緒にいるシーンで終わるのは何か意味があるのでしょうか。

「夜行世界に引っ張られた」と解釈するのは違うような気がしますし。中井さんとか「曙光世界」でも生きてますし。

 

謎だらけなので読み返した方が速そうですねっ

久しぶりの小説だったのですが面白かったです。

休日は小説を読みふけるってのもありかなと思いました。

 

ということで小説『夜行』の感想でした。

ではでは~